未開拓市場だから面白い! 介護マーケットの可能性

未開拓市場だから面白い! 介護マーケットの可能性

AoyagiBlog

介護保険でまかなえるサービスと、保険適用外のサービスは、境界がかなり曖昧です。だからこそ産業としての推進力が生まれるし、工夫のしがいがある面白いフィールドだと思っています。

曖昧だから盛り上がる、介護保険外のビジネス

終戦直後の第一次ベビーブーム期に生まれ、団塊の世代と呼ばれる約800万人が、2025年には75歳以上の後期高齢者になります。この「2025年問題」は、介護業界にとって差し迫った課題です。

高齢者が増えるということは、介護サービスが必要な人もそれだけ増えるということ。国はこの2025年を目途に、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制として、地域包括ケアシステムの構築を掲げています。

これは要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるようにしようというもので、行政だけでなく、いろいろな事業社が生活支援・介護サービスを提供することで実現する仕組みです。

たとえば食材の配達であったりとか、安否確認、日々の生活の見守りなど。これらには介護保険が適用されませんが、介護にまつわるケアサービスとして多くの事業者が参入し始めています。こうした介護保険適用外のマーケットは、2025年に33兆円規模になると予測されるほど勢いがあります。

僕が面白いなと思ったのは、ヤクルトの配達事業です。従来からヤクルトはご自宅へ商品をお届けするヤクルトレディという配達員がいて、その定期的な配達というのが、お届け相手の健康チェックや見守りとして機能したというんです。

まさに地域・社会全体で暮らしを見守るサービスですよね。もちろんこれは介護保険の適用外ではありますが、こうした日々の生活に自然と組み込んでいただける工夫が可能なフィールドだからこそ、介護のマーケットは面白いんです。

介護保険は2000年に開始されたもので、医療保険より歴史が浅い。介護保険でまかなえる部分と適用外になる部分をどちらも使うことで、全体としてより良いケアを実現しましょうというのが現在の状況なんですね。その曖昧さに、僕は産業としての推進力を感じています。

ファクトデータから本質を理解し、価値あるサービスを

介護保険適用外の領域では、曖昧さを活かし、多様な事業者が創意工夫でサービスを提供しています。とはいえ、玉石混合でなんでもかんでもサービス展開をすればいいというわけではなくて、それぞれの事業主体が需要に応えながら、なおかつ価値あるサービスの提供を実現していく必要があると思っています。

では、介護保険外のマーケットにおける需要と価値とはなんなのか? これを知るためのファクトデータは、残念ながら現在の介護業界には蓄積されていません。

医療の場合は日々の診察や製薬会社の治験データによって情報があるのですが、介護にはそれがない。人の手で暖かみのある介護を提供することが重視されてきたからか、介護現場では業務のデジタル化がなかなか進んでおらず、まずはデータや知見を集めるところから始める段階です。

とはいえ介護サービスを必要とする人は増える一方。今後はより少ない労働力で医療・福祉サービスを確保しなければならないため、業務効率化はマストです。人員不足を乗り越えるため、介護のデジタル化はいま必要なことなんです。

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