【CS対談】お節介なくらい、愛ある並走。新しい発想を常識に変えたい #カスタマーサクセス
こんにちは!ドクターメイトのアオパンです!
ドクターメイトは、いつでも介護関係者のそばに医療がある安心をお届けするため、日中医療相談の他、夜間のオンコール代行サービスを提供している会社です。
今回は、ドクターメイトでカスタマーサクセスとして働くふたりに、CSチームのお客様との接し方・考え方などを聞きながら、オンコール代行サービスのもたらす「施設がサクセスした状態」とはどんなものなのか、探っていきたいと思います!
登場メンバー
・岡本真理子さん(カスタマーサクセスグループ・CS):写真左
精神科の閉鎖病棟、中規模病院の内科、地域包括ケア病棟などで勤務。退職後は一般企業で健康管理アプリに携わるスタッフの支援をするうち、働き方改善への関心が高まる。カスタマーサクセスのオンボーディングからアダプションへ担当を変更し、一連のサクセスフローを経験した後にOpsの立ち上げに携わる。
※オンコールナースを兼務
関連記事:【看護師座談会】臨床経験を活かして、企業で働く。1対Nから広がる価値で貢献できる魅力
・高見優さん(カスタマーサクセスグループ・CS):写真右
ブライダル業界で新卒から11年勤務。飲食系サービス職のほか、法人営業も担当。お客様サポートを極めようと取り組むうち、カスタマーサクセスという職種に出会う。現在はカスタマーサクセスのオンボーディングを担当。
現場の破綻を防ぐ「新しい価値観」を共に描く
ドクターメイトのサクセスの特徴は?
高見:社会背景として高齢化が進んでいますから、介護施設の需要はどんどん伸びています。介護施設での医療ケアが必要になった現代において、夜間の高齢者をお守りする「夜勤の介護職員による医療的な判断」の重要性と負担が増して、同時にオンコール(※)の必要性も高まっています。
※オンコール……介護施設において、利用者の怪我・急変などの事態が起こった際、介護職員が看護師に電話をして、医療的な指示を仰ぐこと。
人材不足や労働負荷が問題になっていて、今でさえギリギリの人員で運営をしている施設がほとんど。でも、これからも医療依存度の高い高齢者は増え続ける。今のままの仕組みで続けていたら、いずれは過重労働で破綻してしまいます。
だからこそ、現状から抜け出すための「新しい常識」の確立が必須です。働きやすい環境と余白を作り、今までできなかったことをできるようにする。それが、ドクターメイトのオンコール代行サービスの目指す「サクセス」です。
そうした逼迫感のある状況や、ゲームチェンジャー的な役割が特徴ですが、他にもバーティカルSaaSならではの醍醐味もありますね。日本国内でほぼ確立されつつあるCSのノウハウが、本当に通用しないんですよ。
例えば、顧客満足度調査をしようとして、他社事例を参考にWebアンケート形式で配布したところ、PCを使って業務する風土がないのでまったく集まらなかったり、先人の教えにならってオンボーディングの評価項目を設定したものの、評価で合格していることと、利用頻度・満足度がどうしても連動しなかったり。
CSとして大切な考え方は変わらないんですが、小手先のノウハウまで踏襲してしまうと、業界特性に合わずに苦戦してしまうことが多いんです。だからこそ、勉強したことを介護業界に合わせてカスタマイズして使っていくという、アレンジ性が面白いですね。
具体的にはどんなことをしているんですか?
岡本:契約後、まず最初に行うのはオンボーディングといって、使い方をご理解いただき、施設にフィットさせていくことですね。サービスの価値に自信があるからこそ、「美味しいから、まずはひとくち食べてみて!」というのを、手を替え品を替えやっている感じです(笑)。
高見:僕らのサービスは、使わなくても業務は回るものですが、使ったその先に「負荷軽減」「安心安全」といった付加価値があるサービスです。だからまずは利用してもらえるよう動機づけをして、手触り感や期待感を持ってもらうことが大切ですね。
岡本:ご利用実績ができて、「外部にオンコールをしても安心だ!」と感じてもらえたら、アダプションチームにて2〜3ヶ月に一度、振り返り会を行っています。その期間のオンコール数、通話内容などを、レポートとしてご提供します。現場では自分達の日々のオンコールを記録する文化がない施設も多く、頭の整理ができると好評です。
高見:レポートで「転倒のコールが多かった」という振り返りができれば、福祉用具を買ったりして、リスクを減らす選択もできるようになります。施設の方がいろいろな判断ができるよう、新鮮な情報をお届けしています。
岡本:他にも、中途職員さん向けの説明会などを定期的に行なっています。介護職員さんの中にも「オンコールって何?」という方もいらっしゃいますし、介護業界では人材の入れ替わりが多いので、放っておくと施設の中でドクターメイトのことを知ってる人がいない!なんてことになりかねない。くどいようでも、常に説明し続けることが重要なんです。
高見:それから、人材不足の施設さんには、求人の出し方などの知見を共有したりもしています。「それってCSの仕事なの?」と言われるとちょっと違うかもしれないけれど、深いところまで入り込むことで得られる信頼もありますし、なにより「施設の環境をよくする」というのがゴールだという認識がありますから。手段を問わず、ついついお節介で手を出してしまいます。
岡本:やっちゃいけないことは、特にないですもんね。チーム内には、施設さんの声を聞きながら「これだったら役に立てそうだ」と思ったら、なんでもやってみよう!という雰囲気があります。何をして、何をしないというルール作りは、これからの段階です。
価値を体感してもらうための、最初の一歩に並走する
サクセスに導く上で、特にハードルに感じる部分はどこですか?
岡本:なんといっても、初回利用ですね。実際に体験してもらえると「すごくいい!」とわかっていただけるのですが、使ってもらえるようにモチベーションを高めるご説明が難しいです。
コロナ禍においてはオンラインでお話しすることが多いですし、伝わっているという手触り感も掴みにくくなっています。自分の言葉がしっかり相手に届いているのか、同じ価値観を共有できているのか、いつも考えてしまいます。
高見:施設の方にとっては、オンコールは施設内で対応するのが普通ですからね。外部に依頼するという発想はあまりなかったりします。そうした「当たり前を変える」のは、本当に難しいですよね……。
オンコール代行サービスを使うことで、施設の看護師さんが夜間オンコール対応に縛られない状態にする。そうした、業界としての新しい価値観、新しい働き方を提案しています。これまでと違う考え方ですから、どうしても変えたくない気持ちや、変えるための壁が必ずあります。そこを解きほぐしていくのが、我々の仕事ですよね。
岡本:これまで積み上げてきたスキルやこだわりがあるでしょうし、新しいことをしようとすると、短期的な視点では仕事が増えるし……。
高見:僕らにとっても、携帯を機種変更したりするとUIが変わってストレスだったりしますし。でも、機種変更の価値や意図を理解しているから、多少不慣れでも使い始めますよね。モチベーションがあれば人って頑張れるんですよ。
だからこそ、僕らは施設さんのために、サービス初回利用のきっかけとなるエネルギーを準備していかないといけないと思っています。オンボーディング担当者としては、初めてのことは負荷がかかるとお伝えした上で「そこだけは頑張って一緒に乗り切っていきましょう」と声かけし、しっかり寄り添うようにしています。
その最初の一歩……雪玉の最初のひと押しが、小さいけれど一番重い。でも、実際に使ってみると価値を実感いただけるので、雪玉は自然と転がり始めて、どんどん大きくなっていくんですけどね!
実際に使った方の反応は?
高見:「すごく丁寧に対応してくれた」「普段よりもオンコールしやすい」とおっしゃる方が多いですね。そう思ってもらえたら、オンボーディングの第一歩は成功なんです。
施設の方がほぼ100%そのように感じてくださる理由は、現在のオンコール対応の仕組みにあります。これまで施設の看護師さんは、日中に働いた上で、夜中も高齢者さんに体調変化があれば、夜勤職員からの電話に対応をしていました。
施設に駆けつけて医療処置をしたり、救急搬送をして病院と連携するなど、命を守るために必要な仕組みがオンコールです。一方で、医療知識のない夜勤職員からすると、緊急性の有無を判断するための知識を学ぶ場がありません。体調の変化がどういう意味を持つかわからないと、些細なことでも不安ですよね。この知識の乖離がオンコール負担の原因の一つになっています。
施設の看護師さんも日中の仕事でヘトヘトになってようやく寝れたという時。夜勤職員から医療的には軽微(だけれども、現場にいる夜勤職員からすると不安)な質問が来たら「そんなことで電話してくるなんて……」と思ってしまいますよね。これは看護師さんの性格の問題ではなく、仕方のない、普通の反応だと思います。
そして翌朝、眠そうにしている看護師さんを見てしまうと、介護職員さんも申し訳ない気持ちに……。その結果、「今起きている問題は、寝ている看護師さんを起こしてまで聞くことなのか?」と葛藤し、遠慮してしまうんです。こうして、重要かそうでないかを、医療知識のないまま切り分けなくてはならないことが、現場にとって「判断の負荷」になります。
でも、僕らのサービスは「遠慮せず、どしどしオンコールください!待ってます!」というもの。オンコールナースたちは夜間にばっちり待機していて、どんなことでも電話してほしいと思っています。だから、現場に判断の負荷をかけることなく、適切な医療知識を速やかにお届けできるんです。
余裕を生み出す土台作りこそ、CSの介在価値
ドクターメイトにとって「サクセス」とは?
高見:施設職員の方々の「利用者さんとの時間を作りたい」「心にもう少し余裕を持って働きたい」という願いや、「〇〇という症例の勉強会をする」「余裕をもって対応に関わる」といった、未来への投資を叶える事だと思います。
岡本:そうですね。施設によって違う願いを持っていると思うので、やりたいことやプランを一緒に考えていきたいです。追われ続ける業務から、少しでも余裕を持って「施設にとって、より良い未来を考えられる状態」を目指して、日々努力しています。
人が足りていない施設では「理想的な介護」よりも、「目の前の人に何をできるか」で精一杯なんですよね。私もそういう、ギリギリの環境で看護師として働いていたことがあるので、よくわかります。
高見:そうだね。新しい発想は余白から生まれるもの。ワークシェアリングで空いた時間を使って「やりたかったけど、今までできなかったこと」を実現する施設が増えていけば嬉しいです。そうやって当たり前が変わっていけば、業界からの見方も変わってくるし、もっと価値が伝わりやすくなります。そうした下地作りをするのも、サクセスチームの仕事ですね。
岡本:サービスを使いこなしてもらうことで、独自のサクセスに辿り着いている施設も多いですもんね。CSチームとしては、悩まれている施設さんのヒントになるよう、そうした事例を展開して情報提供をしたいです。
すでにサクセスと言える使い方をしている施設について、どんな使い方なのか聞きたいです!
高見:例えば、とある施設の施設長さんは、朝ご飯を食べながら、前日のオンコールレポートを見ているそうです。
私たちが送信しているオンコールのレポートは、本来、朝出勤した看護師さんのために医療データをお渡しすることで、スムーズに引き継ぎができるようにという意図でお送りしているものでした。
でもその施設長さんは、昨日の夜、誰が何をして、どう頑張ったのかを把握するためにレポートを使ってくれているんです。レポートを読むと「夜勤のあの子がオンコールしたんだ。難しかっただろうに、よくひとりで対応したなあ」と、出勤前に状況把握ができる。そうすると、夜勤明けで帰る担当者に、朝一番で声をかけて労うことができるそうです。
こうした即時フィードバックによってお互いの信頼関係が構築でき、雰囲気が良くなって離職も防げるんです。こうした良い例を元に、他の施設の管理者さんに「朝出勤時にレポートチェックなんてしてみませんか」と提案してみたりしています。
ほかのSaaSではすでに「これを使うと楽になる」「業務効率が上がる」という認知が広がっているものもありますが、ドクターメイトのサービスはその一歩手前。まだご存じないからこそ、ご説明をするCSの介在価値があるのかなと思います。